きみと、波にのれたら

 

湯浅政明監督の新作。

 

事前情報からは、ポスト君の名はかつ男女反転ルーの歌という感じに見えた。

 

見た感想一言、とてもよかった。

シナリオを引き立てるための絵づくりで、あくまでシナリオが主、画面作りが従といった関係に感じる。

 

以前たまこラブストーリーのダイアログを一部写経したときに感じたのは、

会話が情報のやりとりにとどまらず、かわす言葉一つ一つによって

キャラクターの内面(考え方や感じ方、気分や感情)が多かれ少なかれ必ず変化していっていること。

積み重ねによって内面は大きく変わっていく。

その観点で無駄なものがほとんどないというのが驚き。(また写経したい)

 

今作はとくにシナリオをメインに据えているかんじだったので尚更シナリオの良さがよく見えたのかなという気がします。

 

クライマックスシーンにむかって、

波に乗れないという問題を抱えてた主人公が乗り越える、それを示す一覧のアクション

妹をボートに載せるのは子供のころ、港にそうしたのと反復される。そこに自分を発見したはずだ。

クリスマスメッセージで泣かせにくるタイミングは完璧だと思った。悲しみを乗り越えた瞬間に送られた祝福の言葉だ。

 

あと、卵を焼くアクションが全編通して見るとキャラクターの対比と成長を表していたり。

 

演出面だと、序盤のカラオケモンタージュの多幸感がすごい。

妹さんとの百合感も良(?)。

 

水がサラッとしている印象。

海水も、潮風も、ベタついた感じがしない、ここらへんの質感は海獣の子供とは対照的か。

自然そのものを克明に描写することが目的になっていた海獣の子供に対して、

きみと、なみにのれたらはあくまで人間関係の雰囲気を表現するための海、という感じがある。