SF中短編リスト

自分への備忘録

ローカス誌で出してるオールタイム・ベスト短編を選出作品の多い作家ごとにまとめて、さらに各カテゴリでtop100に入ってるものをまとめる。

 

アイザック・アシモフ

  • 夜来たる
  • バイセンテニアル・マン
  • 最後の質問
  • 火星人の方法
  • ロビイ
  • ファウンデーション(1942)
  • うそつき
  • 停滞空間
  • 夢みるロボット
  • 迷子のロボット
  • 人間培養中
  • プロフェッション

ロバート・A・ハインライン

  • 輪廻の蛇
  • 月を売った男
  • 時の門
  • 地球の緑の丘
  • ジョナサンホーグ氏の不愉快な職業
  • 大宇宙
  • 歪んだ家
  • 道路をとめるな
  • 鎮魂歌
  • Solution Unsatisfactory
  • 大当りの年
  • 地球の脅威
  • 深淵
  • 果てしなき看視
  • もしこのまま続けば
  • かれら
  • 爆発のとき

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

レイ・ブラッドベリ

  • 雷のような音
  • 2026年8月 優しく雨ぞ降りしきる
  • 草原
  • 生まれ変わり
  • 2026年10月 百万年ピクニック
  • すべての夏をこの一日に
  • 金色の目
  • 2000年4月 第三探検隊
  • 孤独な散歩者
  • 幼い刺客

ハーラン・エリスン

  • 悔い改めよ、ハーレクィン!とチクタクマンはいった
  • おれには口がない、それでもおれは叫ぶ
  • 少年と犬
  • How Interesting: A Tiny Man
  • ジェフティは5つ
  • 死の鳥
  • Paladin of the Lost Hour
  • 世界の中心で愛を叫んだけもの
  • Mefisto In Onyx
  • All the Lies That Are My Life

グレッグ・イーガン

  • 暗黒整数
  • ひとりっ子
  • ぼくになることを
  • グローリー
  • 祈りの海
  • クリスタルの夜
  • Lost Continent
  • しあわせの理由
  • Riding the Crocodile
  • 伝播

アーシュラ・K・ル・グィン

  • 世界の合言葉は森
  • オメラスから歩み去る人々
  • 地の骨
  • カワウソ
  • ワイルド・ガールズ
  • 革命前夜
  • 夜を通る道
  • バッファローの娘っこ、晩になったら出ておいで
  • Forgiveness Day
  • 帝国よりも大きくゆるやかに
  • 九つのいのち
  • Mountain Ways
  • もうひとつの物語

シオドア・スタージョン

  • 『人間以上』第二部
  • 海を失った男
  • 極小宇宙の神
  • 孤独の円盤
  • 雷(いかずち)と薔薇
  • ゆるやかな彫刻
  • 殺人ブルドーザー

ニール・ゲイマン

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

  • ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?
  • ラセンウジバエ解決法
  • 男たちの知らない女
  • 接続された女
  • 愛はさだめ、さだめは死
  • そして目覚めると、わたしはこの肌寒い丘にいた
  • 一瞬のいのちの味わい
  • 故郷へ歩いた男
  • エイン博士の最後の飛行
  • たったひとつの冴えたやりかた
  • おお、わが姉妹よ、光満つるその顔よ!
  • たおやかな狂える手に
  • 楽園の乳
  • 煙は永遠にたちのぼって

ロジャー・ゼラズニイ

  • 伝道の書に捧げる薔薇
  • 北斎富嶽二十四景
  • その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯
  • He Who Shapes
  • フロストとベータ
  • 十二月の鍵
  • ハングマンの帰還
  • ユニコーン・ヴァリエーション
  • キャメロット最後の守護者

フィリップ・K・ディック

  • 追憶売ります
  • 変種第二号
  • 父祖の信仰
  • 時間飛行士へのささやかな贈物
  • 電気蟻
  • にせもの

ロバート・シルヴァーバーグ

  • 夜の翼
  • ビザンチウムへの航海/Sailing to Byzantium
  • 憑きもの
  • ホークスビル収容所
  • 我ら死者とともに生まれる
  • Enter a Soldier. Later: Enter Another
  • 見えない男

■マイクル・スワンウィック

  • 犬はワンワンと言った
  • 時の軍勢
  • King Dragon
  • From Babel’s Fall’n Glory We Fled
  • スロー・ライフ
  • The Little Cat Laughed to See Such Sport
  • Tin Marsh

アーサー・C・クラーク

  • 90億の神の御名
  • 前哨
  • メデューサとの出会い
  • 太陽系最後の日

J・G・バラード

  • 終着の浜辺
  • 至福一兆
  • コーラルDの雲の彫刻師

コニー・ウィリス

  • インサイダー疑惑
  • 最後のウィネベーゴ
  • 見張り/空襲警報
  • 女王様でも
  • もろびと大地に坐して
  • クリアリー家からの手紙
  • Just Like the Ones We Used to Know
  • マーブル・アーチの風

■ルーシャス・シェパード

  • Stars Seen Through Stone
  • Only Partly Here
  • 『戦時生活』第一部
  • 竜のグリオールに絵を描いた男
  • Over Yonder
  • サルバドール
  • 宇宙船乗りフジツボのビル
  • Jailwise
  • 輝ける緑の星

ブルース・スターリング

  • キオスク
  • Black Swan
  • The Blemmye’s Stratagem
  • ドリ・ バングズ
  • 招き猫
  • Green Days in Brunei
  • Ivory Tower

ポール・アンダースン

  • 空気と闇の女王
  • The Lady Of The Winds

ジョン・ヴァーリイ

  • 残像
  • Press Enter■
  • 空襲
  • プッシャー

アレステア・レナルズ

  • ダイヤモンドの犬
  • Zima Blue
  • Beyond the Aquila Rift
  • Signal to Noise
  • ターコイズの日々
  • トロイカ
  • Understanding Space and Time
  • 氷河
  • Nightingale
  • 未来への眠り

フリッツ・ライバー

  • 凶運の都ランクマー
  • バケツ一杯の空気
  • 性的魅力
  • 骨のダイスを転がそう
  • 跳躍者の時空
  • 雪の女
  • 珍異の市
  • 影の船

ジョージ・R・R・マーティン

  • サンドキングズ
  • ライアへの讃歌
  • Shadow Twin
  • 夜明けとともに霧は沈み
  • ナイトフライヤー
  • 龍と十字架の道
  • 放浪の騎士

アルフレッド・ベスター

  • ごきげん目盛り
  • マホメットを殺した男たち
  • ピー・アイ・マン
  • イヴのいないアダム

ロバート・シェクリイ

  • 七番目の犠牲者
  • 専門職/専門家

■ジェフリイ・フォード

  • アイスクリームの帝国
  • 創造
  • Exo-Skeleton Town
  • Botch Town
  • The Night Whiskey
  • Boatman’s Holiday
  • The Dreaming Wind
  • イーリン・オク伝

パオロ・バチガルピ

  • カロリーマン
  • 砂と灰の人々
  • イエローカードマン
  • フルーテッド・ガールズ
  • 第六ポンプ
  • ギャンブラー
  • ポップ隊
  • 錬金術
  • タマリスク・ハンター

ナンシー・クレス

  • ベガーズ・イン・スペイン
  • アードマン連結体
  • 齢の泉
  • Act One
  • Laws of Survival

テッド・チャン

  • 息吹
  • あなたの人生の物語
  • 地獄とは神の不在なり
  • 商人と錬金術師の門
  • 顔の美醜について -ドキュメンタリー
  • バビロンの塔
  • ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル
  • 七十二文字
  • 理解

ジーン・ウルフ

  • ケルベロス第五の首
  • Memorare
  • アイランド博士の死
  • デス博士の島その他の物語
  • アメリカの七夜
  • Queen
  • Under Hill
  • Comber

コードウェイナー・スミス

  • 鼠と竜のゲーム
  • 帰らぬク・メルのバラッド
  • スキャナーに生きがいはない
  • シェイヨルという名の星
  • アルファ・ラルファ大通り
  • スズダル中佐の犯罪と栄光
  • クラウン・タウンの死婦人

ゴールデンカムイ、ストーリーを3パートに分けるならどこで区切る?

いよいよ今週のヤンジャンで完結する金カム。自分は連載初期から10巻くらいまでは追いかけてたんですがそれ以来離れていました。昨年秋の無料開放のときに公開分全話読んだのと、今回の最終話まで無料開放とで、完結まで読めそうです。

ストーリーを3パートに分けるならどこで区切る?

大目標として金塊を手に入れることがあり、ステップを踏んでそれを達成する過程だと考えれば、ざっとこんなところでしょう⇓

  1. ~網走監獄:アシリパさんのお父さん(ウイルク)に会いに行く
  2. 樺太編:暗号を解くための「鍵」を手に入れる
  3. ~ラスト:金塊(+権利書)を手に入れる

わりと素直な分け方だと思います。

ですが無料開放で一気読みしてみて、別の分け方もあるんじゃないかと思いました。連載を追っかけていた初期の印象から、途中で何度かモードチェンジというかギアチェンジがあるように感じたんです。この変化は上で書いた区切りとは多少ずれます。大まかに言うと、”杉元の干し柿のエピソードが現れると作品のモードが変わる”……厳密ではないですが話数で分けるとだいたいこんな感じです。

  1. 序盤(1~100話)
  2. 中盤(101~191話)
  3. 終盤(192話~)

それぞれ見てみましょう。

序盤 手数でアピール

金カムは連載初期から話題の作品で、『このマンガがすごい!2016』オトコ編で2位をとっています。ランキング入選と前後して自分も読み始めたんですが、当時の印象はヒット要素をたくさん盛った漫画だな、という印象でした。当時は状況として進撃の巨人のヒットがあり、一方で孤独のグルメのドラマの成功に影響されてか、グルメものがやたら量産されていました。(この年の『このマンガがすごい!』の1位がダンジョン飯)生き死にを賭けたシビアな闘争あり、一方でアイヌグルメあり、ということで、おもしろいけど雑多に要素が盛り込まれててなんかくどいなと読んでて感じた気がします。シライシもなんかくどいし。

吹き出しに過剰に出てくるシライシ

吹き出しにやたらと念押ししてくるシライシの顔はひとつの表れで、全体的に念押ししてくるようにネタを盛ってくるのがこの作品のテイストになっています。

大きな構想を書き切るには週刊連載は過酷な環境。連載自体もサバイバルしていかなくてはなりませんから、手数勝負でたくさん受けそうな要素を盛り込んだのだろうと思います。ということで、初期は「手数で読者にアピールしていた時期」だと仮定してみます。このモードが一区切りするのが100話の『大雪山』の回だと自分は考えています。

中盤 時間と空間のフレーム

第100話とは連載の中でも区切りとなる話数。たまたまかもしれませんが作者も区切りを考えた可能性はあるでしょう。鶴見ら第七師団から逃げる一行は大雪山悪天候にあい、その場で射止めた鹿の皮にくるまって吹雪をしのぎます。このとき杉元はアシリパさんに戦争に行く前の干し柿の思い出を話します。この干し柿エピソードは杉元とアシリパさんだけが知っている、二人の間だけで共有される秘密になります。いや正確には二人と読者の間で共有される秘密ですね。これを境に読者は、接待される客から旅の仲間になったんだと思います。

二人と読者だけが共有する秘密

一行は網走監獄を経て樺太へと移っていきます。北海道を出てさらに北の地樺太へ。そして旅の目的はアシリパさんの記憶の中にあるだろう暗号を解くための鍵を探すこと。必然父ウイルクの出自を探っていく旅になります。地理的には北へと向かう旅であり、同時に時間を遡ってルーツを探っていくそれです。いわば物語があつかう時間領域と空間領域を広げていき、最外のフレームを確定する工程とも言えるでしょう。うまいことに樺太の地で手に入れる暗号の鍵は、父のルーツ(過去)とアシリパさん(現在)をつなぐミッシングリンクになっています。

中盤のラストに設定したを191話、この回で一行は道を折り返し樺太の北端から北海道へと戻ります。〈鍵〉を手に入れたことで過去と現在は繋がり、空間的には作中最北端に至るわけですね。時間(歴史)と舞台となる空間が示されたことでここを第二の区切りとしました。

中盤のドラマの山場としては、暗号を解く〈鍵〉の奪い合いになります。尾形がアシリパを信頼させ〈鍵〉を騙し取ろうとしますが、それを防ぐのが杉元の干し柿のエピソードになります。

あんこう鍋が食べたい」って言っていたよ

馬脚を出した尾形。嘘と見抜けるのはアシリパさんと読者のみ。ドラマの山場で出される切り札。干し柿の思い出は杉元とアシリパの絆の核心であり、また読者と二人に共犯関係をもたらしてるわけですね。

終盤 旅の終わり

空間のフレームが定まったことでお宝のありかはある程度メタ推理ができました。北海道中を行脚してるわりにはまだ行っていないエリアがありますぞ、というわけです。暗号の答えは提示されるまでわかりませんでしたが、答えを見てなるほどねとなりました。

そして来週とうとう最終回。杉元の生死がきになりますが、どうあれ最後にもういちど干し柿のエピソードが出ると予想しています。干し柿の思い出は杉元とアシリパさん、そして読者が一緒に旅をしてきた証ですから。

 

ウマ娘がきっかけでPOGやってみた

POGって?

ゲームのウマ娘のヒットににぎわう去年の5月ごろ、ラジオ番組でやってたPOG特集を聞いたのがきっかけでPOGという競馬ゲームに興味を持ちました。
POG、即ちペーパー・オーナー・ゲームとは、仮想馬主になって仲間内と所持馬のレース賞金額を競うゲームです。

ツイートを見たSF創作講座同期の升本さん(@masumoto_)が声をかけてくれて2人でやることに。

レギュレーション

さてPOGの細かなレギュレーションは様々なようですが、今回は以下のようなルールで行いました。

  • 2歳競走馬のドラフトを2021/6/5に行う
    • (6月初週にすでにデビューの馬もいるが、ドラフト対象に含めることにする)
  • 全部で10頭指名する
  • 期間は日本ダービー(2022/5/29)まで

ドラフト結果

ドラフトの結果以下のようになりました。現在までの獲得賞金(万円)も記載しています。

獲得ポイント せい指名馬 指名順位 升本指名馬 獲得ポイント
1310
アーティット 1 コマンドライン
4000
0
スカーレットオーラ 2 レディナビゲーター
1200
930
エピファニー 3 トゥデイイズザデイ
1260
488
フォーブス 4 クレイド
801
2170
ママコチャ 5 リアグラシア
1240
0
ダノンフォーナイン 6 レッドベルアーム
2270
850
アストロフィライト 7 ダンテスヴュー
2960
739
ダノンアーリー 8 アルファヒディ
200
0
エスポワールエール 9 ティーガーデン
2130
4500
イクイノックス 10 ディーンズリスター
0
10987
合計
16050

さすがに競馬知りたての自分には情報収集能力が足りず、後塵を拝している状況。しかし逆転の目はまだあるはず。

指名馬たち

走る馬を選ぶためのヒントとなる情報はいくつかあります。血統の優秀さ、生産牧場の施設の充実度、目利きの馬主の所有馬か、などなど。担当している調教師やデビュー前の調教のタイム、あるいは写真等で馬体を見て良し悪しを判断すつ方法もあります、がそのあたりはよくわからないので省略。

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アーティット(牡)

ドラフトの前日に英オークスディープインパクト産駒のsnowfallが16馬身差で圧勝したというニュースがあり、似た血統の馬を探してみたところ見つかったのがこの馬。父はウマ娘の前から知っていたディープインパクト、母の父は欧州で長年リーディングサイアー(最優秀種牡馬みたいなもの)だったGalilleo、半姉は仏オークス勝馬。馬主はディープインパクトキングカメハメハといったダービー馬をはじめ数々の名馬を所有していた金子真人氏。およそ欠点のつけどころのない馬だったしきっと走るだろうと思ったのですが、勝ち上がったのは3戦目。いやはや難しいものです。

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スカーレットオーラ(牝)

ロードカナロア産駒で母ダイワスカーレット。ロマン枠です。ダイワスカーレットウマ娘にもなっている超名馬ですが、重賞を勝つような仔はまだ出てきていません。とはいえアグネスタキオンノーザンテーストの血の入った馬から強い馬が生まれないかなーと期待してしまいます。

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エピファニー(牡)

エピファネイア、母の父はディープインパクトという血統。エピファネイアの仔たちがデビューしてまだ3年目くらいですが、無敗の三冠牝馬デアリングタクトや弱冠3歳で天皇賞秋を制したエフフォーリアなど活躍馬を出しています。エピファネイア産駒から1頭選ぼうと思い、デビュー前から評判も上々だったこの仔を選びました。デビュー3戦目にして勝ち上がり。全体からしたらこれでもぜんぜん優秀な方ですね。

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フォーブス(牝)

ディープインパクト、母の父はTapitという血統。唯一写真見て選んだ馬です。POG特集の雑誌を見てる中で、なんとなく毛並みがいいなと目が止まりました。血統を調べてみるとけっこうな良血であることが発覚。母父のTapitアメリカで3年連続リーディングサイアーになったとのこと。似た血統背景の馬には最強マイラーとの呼び声もあるグランアレグリアがいます。これは期待大! だったんですがデビュー後未だ勝ち上がれず。競馬は難しい。

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ママコチャ(牝)

クロフネ、母ブチコという血統。つまり白毛のアイドル馬ソダシちゃんの全妹。だけど鹿毛。お姉ちゃんほどじゃないけどがんばって走ってくれてます。がんばれ。

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ダノンフォーナイン

ドラフト一巡目で升本さんの指名理由を聞いて自分が下馬評(文字通り)を全然知らないことがわかり、慌ててPOG人気馬をねじ込んだのがこの馬。だけどいまだ勝ち上がれず。いやはや競馬は(略)

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アストロフィライト(牝)

ディープインパクト、母ウェイヴェルアベニュー。半兄のグレナディアガーズは朝日杯を制したG1馬ということで妹も走ってくれるんじゃないかと期待しました。デビュー戦は勝ってくれたのですが2戦目は4着をとって以来レースには出ていません。いやはや(略)

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ダノンアーリー(牡)

父Frankel、母ファイネストシティ。父は最強馬Frankel、母は海外のG1レース優勝馬ということでかなりの良血。しかしなかなか勝ち上がれず。うーん。

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エスポワールエール(牡)

父モーリス、母カデナダムールという血統。母の父はディープインパクト。モーリス産駒からのチョイスです。母はエクリプス賞をとったラヴズオンリーユーの全姉。しかし指名した中で唯一の未出走馬。デビュー前に足を痛めてしまったようです。競走馬はデビューさえ難しいんですね。デビューするだけで偉い。競馬民たちは反省しよう。

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イクイノックス(牡)

キタサンブラック、母シャトーブランシュという血統。母父キングヘイローなのでウマ娘血統ともいえます。ですがこの馬を選んだ一番の理由は名前でした。イクイノックスとは天球上で天の赤道黄道とが交わる点のことで、暦の上では春分の日秋分の日にあたります。天文の言葉ということでどこかロマンチック。私の好きなSF作家にジョン・ヴァーリィという人がいるんですが、彼の短編で『イークイノックスは何処に』というのがあって、それも気に入ったポイントです。気になったポイントはことごとく馬の能力とは関係ないところだったので正直指名リストから落とすか迷ったのですが、逡巡したのち直感を信じて残しました。
結果的に最も賞金を稼いでくれたのがこのイクイノックスです。デビュー戦は6馬身差圧勝。しかもこのとき3着は後に阪神ジュブナイルフィリーズを勝ち2歳女王になったサークルオブライフ、4着はその後のレースでレコード勝ちを出すサトのヘリオスと、下した相手からしてもハイレベルなレースでした。2戦目の東スポ杯は後方の位置取りから直線一気で2着に2馬身差ゴール。末脚がキレるところも見せてくれました。次走はいざ、皐月賞

天王山のクラシックG1

賞金ポイントとしては差がついてますが、G1レースで勝てば全然逆転できます。皐月賞の1着は賞金1.1億円ですし、この後に日本ダービーもありますから。
指名馬から皐月賞に出るのはイクイノックスのみ。枠順は大外になってしまいましたが、過去データ見る限り枠順の有利不利はそんなに無さそうに見えます。
しかし今だ勝負の目を残しているのが、名前とゲームゆかりの血統という理由で末席に入れたイクイノックスだというのは不思議な感じです。勝手にオーナーを名乗ってるだけなんですけど、それだけでけっこう愛着が湧くものですね。応援してるよ。

雑記:ファンタジーの2つのベクトル その2『リトル、ビッグ』について

大阪杯、エフフォーリアが沈むとは以外でした。一週前追い切りでも反応があまり良くなかったらしいので、もともと調子が良くなかったようです。たぶん輸送や阪神競馬場が不利に働いたとか以前の問題な気がしますね。

 

先日、ファンタジーについて調べてみようと思い図書館で本をいくつか借りました。

  • ファンタジー文学入門 ブライアン アトベリー著
  • 魔法ファンタジーの世界 脇 明子著
  • 児童文学論 リリアン・H.スミス著

あと機龍警察の家宅と狼眼殺手も借りた。ファンタジー関連で3冊も借りたけど1冊目真面目に読んでたら他は貸し出し期間では読めなそうかも。

 

パラパラ読んだ感じファンタジーの成立はどうやら割と最近のようで、叙事詩やおとぎ話(フェアリーテイル)から派生分離して独立したジャンルになったのはトールキン以後らしいです。他に驚いたのは『ファンタジー文学入門』におてはジョン・クロウリーが特別高い評価を受けていること。「トールキン以後の最大のファンタジー作家のひとり」とまで言われている。

しかし体感的にはジャンルファン以外では知られていない作家なきがします。日本で有名なファンタジー作家と言うとまずはトールキン、ついでル=グウィン。あとルイス、エンデ、JKローリングあたりが来る感じでしょうか。このあたりにジョン・クロウリーの名が並ぶことは、まああんまり聞いたことがないです。

 

ジョン・クロウリーの作品は、長編はSF小説の『エンジン・サマー』ファンタジー小説の『リトル、ビッグ』が翻訳されているがどちらも絶版。短編集は『ナイチンゲールは夜に歌う』『古代の遺物』が出ているが前者は絶版、後者は国書刊行会で出ているもののまあ海外文学マニアしか買わななそう(失礼)である。最大の長編作『エヂプト』シリーズは昔翻訳計画があったらしいが立ち消え状態の様子。観測範囲ではSF好きの中にはエンジン・サマーを寵愛しているものも一定数おり、知る人ぞ知る、という感じでしょうか。

自分もエンジン・サマーは好きなんですけど、クロウリーで一番となるとナイチンゲールは夜に歌うに収められた『時の偉業』の方です。”究極の歴史改変SF”の名に偽りなし。完璧な小説のひとつだと思っています。

さておき、ジョン・クロウリーの国内外の評価をまとめておきます。

■受賞歴 *1 

 

■ジャンルファンの評価

国内のSFコミュニティの評価ということでは、SFマガジンの2014年のオールタイム・ベスト投票では『エンジン・サマー』が45位となかなかの高さ。

海外の方では、ローカス誌のオールタイム・ベストファンタジー小説のランキングで『リトル、ビッグ』が10位にランクイン。

 

■主流文学との評価のギャップ

リトル、ビッグの訳者あとがきにはこのように書かれている。

旧年間の歳月を賭して完成されたこの大作は発表と同時に各種マスコミで初評価、評論家に絶賛され、翌年の世界幻想文学大賞を受賞しました。

しかし世間の受け入れられ方はそう単純ではなかったと『ファンタジー文学入門』では語られます。

このような魅力を持っているにもかかわらず、『リトル、ビッグ』は、少数のファンタジー研究者以外にはほとんど注目されなかった。形式的なごく普通のファンタジーを愛好する者には、この作品はわかりにくいものであったし、複雑な作品に耐えうる洗練された読者は、この作品のことを聞いたことがないか(文学の専門誌には一度も書評が出ていない)、または作品がファンタジーだということで敬遠してしまうかのどちらかだったのである。

本書ではつづけて『リトル、ビッグ』の2年後に出版されたマーク・ヘルプリンの『冬物語(ウィンターズ・テイル)』と比較しています。両者はよく似た要素を持っていましたが、ウィンターズテイルの方は主流文学として世に出され、評論家たちはポストモダニズム文学の枠組みで評価しました。一方リトル、ビッグはSFファンタジーレーベルで出版された。そのため前者はベストセラーになったにもかかわらず純文学として評価され、後者は大衆文芸とみなされたそうです。

しかし著者はウィンターズ・テイルよりもリトル、ビッグの方が優れていると評価します。

しかし、これはクロウリーのものほど創意に富んだ作品ではない。調子やスタイッルはより単調だし、テーマにもそれほどの複雑さがない。作品の本当の面白さは、最後の三百ページか四百ページで薄れてしまう。(中略)作者が物語っている内容に対して距離を起き、醒めた目で見ていることが、作品の魅力を減じるのである。

海外でもジャンル作品への差別みたいのがあるんですね。しかしウィンターズテイル、アマゾンレビューを見るとアメリカの評論家と全く同じようなことを書いてるものがある(受け売りで書いてるのだろうか)

 

『リトル、ビッグ』は何年か前に買って(古書価がめちゃくちゃ高騰してた)積んでいたけれど、トライしてみようかな?(ここまで書いていて読んでない)

 

*1:wikipediaからコピペ

ファンタジーのふたつのベクトル

先日灰羽連盟を見直してみて、あらためていい作品だなと思った。と同時に、今ではこういう作品は流行らないだろうという思いが湧いた。

灰羽連盟のイメージソースは村上春樹の『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』のハードボイルド・ワンダーランドパートと思われる。安倍吉俊も影響を公言していたはず。あれは脳の深層意識の世界であるし、村上春樹といえば河合隼雄とも対談したりしてるくらいユングの影響を受けている。つまりファンタジーを集合無意識のあらわれとして解釈する流派と言える。いわば心の内々へと掘り下げているベクトル。

対して最近多い異世界転生ものは社会のレギューレーションを変えればもっと生きやすいんじゃないかという願望に見える。いわば社会の外側に別の社会を反実仮想する方向性で、社会の外側へと向かうベクトル。

 

ファンタジーと言えど表面的には別方向を向いているように見える。

ル・グウィンは前者の系統をファンタジーで、後者の系統をSFでと棲み分けていたような気もする。ある意味後者の切り口は文化人類的だろうか。

 

そもそも、2つのベクトルは本当に別のものなのだろうか。ル・グウィンの晩年の作品はSFかファンタジーかはっきりしない作品が多い聞く。

今後の課題として調べていきたい。

現代の神秘主義の変遷:ニュータイプからルナティックへ

 

 

Netflixで先日公開された磯光雄監督の新作『地球外少年少女』は、「増えすぎた人間を減らすために彗星を落とす」というプロットにおいて、あるいは最終話で全裸で精神世界(っぽいVR空間)を漂う絵面をあげてガンダムを連想させるところがありました。興味深かったのはかつてニュータイプだったものがセブンと呼ばれる超高知能AIや脳インプラントに置き換えられている点です。これはニューエイジ思想的なものから「神秘主義」を脱臭して現代的にしたように見えます。しかし、本当にそうなのでしょうか。

以下ではニューエイジ思想と技術的シンギュラリティのそれぞれグノーシス神秘主義との類似性を検討していきたいと思います。

ヴァチカン曰く「ニューエイジはかたちを変えたグノーシス主義である」

ローマ教皇庁文化評議会/教皇庁諸宗教対話評議会によるニューエイジについての研究報告書『ニューエイジについてのキリスト教的考察』の中でヨハネ・パウロ2世の以下の言葉が引用されています。

ニューエイジと呼ばれる衣をまとった古代のグノーシス思想の再来という問題があります。これが宗教の刷新をもたらす、などと錯覚してはなりません。これはグノーシス主義の新しいじっせんにすぎません。グノーシス主義とは、神についての深い知識を持っているという名目で神のことばを覆し,単に人間的なことばに置きかえることに終わるだけの精神的姿勢のことです。グノーシス主義は一度もキリスト教の領域から離れ去ったことはありません。それどころか、つねにキリスト教とともに生き続けており、ときにはそれぞれの時代の哲学的視聴の形をとり、より多くの場合は、公然とではなくとても、実質的にキリスト教の本質と対立する、宗教的、または疑似宗教的形態をとりながら存続しているのです。

カトリックはこのような研究を出すあたり巨大な官僚組織で、教皇の言葉も教皇庁の調査研究を反映してのものに見えます。言っていることはやや外観的で何が具体的に似ているのか分かりづらいので、別のところを引用してみましょう。

ニューエイジ的思考の基本的な枠組みは、神智学のエソテリックな伝統に見出すことができます。……エソテリックな世界観においては目に見える世界観と目に見えない世界観はさまざまな照応、類否、影響関係でつながっています。こうした照応は、小宇宙と大宇宙、金属と惑星、惑星と人体の諸部分、目に見える宇宙と目に見えない実在の領域の間に存在します。……人は(魂ないし霊の器官である)想像力によって、また霊媒(天使、心霊、悪魔)ないし儀礼を用いて、上部世界ないし下部世界に接続することができます。

人は霊的変容の道を通じて、宇宙、神、自己の神秘に導き入れられることができます。最終的な目的は「グノーシス」です。グノーシスとは、知の最高の形態であり、救いと等しいものなのです。

下部世界(現世)から、何らかの手段で上部世界にアクセスするというのがニューエイジ思想の特徴としています。これらはグノーシス主義と一致するのでしょうか。

グノーシス 古代キリスト教の<異端思想>』によると、キリスト教グノーシス主義に共通する特徴は、

  • 目に見えるこの世界を、それを創造した神を含めて蔑視し、排斥する
  • この世界の外、あるはその上にある上位世界(プレーローマ)」、そしてそこに位置している「至高神」を信奉する
  • 人間の霊魂も、もともとは上位世界の出身
  • 霊魂がこの世界から開放され、故郷である上位世界に戻ることが「救済」とされる

とあります。

カトリック教皇庁の指摘どおり、救済のイメージはグノーシス主義ニューエイジ思想はかなり似ているように見えます。

技術的シンギュラリティの由来

技術的シンギュラリティ――人工知能がやがて人類の知性を超えるという説――を最初に提唱したのは、SF作家で科学者でもあるヴァーナー・ヴィンジでした。彼の言説はフォンノイマンの影響を受けています。フォン・ノイマンは自己複製オートマトンについて、オートマトンが自身より高性能なオートマトンを作れるようになったら性能が指数的に増大するだろうと予想しました。

ヴァーナー・ヴィンジがこの考えに対して数学用語の「特異点」をあてました。特異点は関数が発散する点のこと(たとえばy=1/x^2という関数におけるx=0; x→0に漸近するほどにyは∞に発散します)急激な性能向上を例えるのにこの言葉を使ったようです。

※ただし、フォン・ノイマン自身は「人智を超えた超越的な知性」については言及しませんでした。

もうひとつ、ヴィンジのアイディアはムーアの法則にも依拠しています。ムーアの法則とは「マイクロプロセッサの集積度はおおよそ18ヶ月毎に倍になる」という半導体業界の経験則のこと。

ヴァーナーヴィンジ以降様々な人がシンギュラリティの議論をしましたが、最も有名な人物の一人はレイ・カーツワイルでしょう。彼は著書『ポストヒューマンの誕生』のなかで、シンギュラリティは2045年に訪れると予想しています。内容としては、前述のムーアの法則の発展のようなかたちでコンピュータ内のトランジスタ数が全人類の脳のニューロン数の総和を超えるのが2045年ごろだろうという主張だったと思います。

2040年代の中盤には、1000ドルで買えるコンピューティングは10^26cpsに到達し、一年間に創出される知能(合計で約10^12ドルのコストで)は、今日の人類の全ての知能よりも約10億倍も強力になる。

ここまでくると、たしかに抜本的な変化が起きる。こうした理由から、特異点――人類の能力が根底から覆り変容するとき――は、2045年に到来するとわたしは考えている。

この言説は巷によく流通していて、「2045年問題」なんて言われたりもします。

AIを扱ったフィクションではしばしば2045年もしくはその前後が舞台となることが多いですが、それはカーツワイルの言説に影響されたものです。ディープラーニングが注目をあびてからはSFの定番になっており、地球外少年少女の舞台が2045年設定なのも当然この説を下敷きにしているとみていいでしょう。

シンギュラリティは神秘主義

シンギュラリティがバズワードになってからこちら、近年ではAIの議論はますます活発になっています。物理学者のマックス・テグマークは最近は人工知能LIFE3.0の中では、シンギュラリティに対する様々な態度を整理しつつ、AIが人間にとってアンコントローラブルになる事態を想定していまから対策を考えるべきだと主張します(わたしもこの意見には同意します。AIが人類を超えるかどうかとは別の問題として、そういった対策は考えるべきでしょう)

一方AIが人間の知性を超えるという議論に対しては批判もあります。たとえば『機械カニバリズム』や『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』ではAIと人間の知性を同じものさしで測って比較しようとすること事態を、人間というものをせまく捉えているとして批判しています。また、フランスの哲学者ジャン=ガブリエル・ガルシアは『虚妄のAI神話』の中で、技術的シンギュラリティ言説のグノーシスとの類似性を指摘しています。この主張の内容を少し見てみましょう。

『虚妄のAI神話』において、技術的シンギュラリティ言説のグノーシスとの類似性が指摘されています。

グノーシス主義者とインギュラリティ提唱者の第一の類似点は、あるがままの自然を否定し、自然を変えなければならないとしている点である。両者は共に、自然は不完全だから、精神がその大望を実現し飛躍を遂げるように、ただしてやらなくてはならないと主張している。これを補い膨らませているのが、隠された知識が存在するという考えだ。隠された知識とは、この場合、不器用な造物主の失敗作である自然を正し、乗り越える道を教えてくれる、隠された進化の法則である。

このシンギュラリティとグノーシスの第一の類似点からは、ただちに第二の類似点が導き出される。それは議論の進め方が似ていることである。論理を重んじる思想では、一般に、寓話や伝説の世界に属するミトスと、命題を論理的に積み重ねて論証するロゴスを対立させて捉えているところを、グノーシス思想では、ふたつを一緒にして、まるごと広大な宇宙へ取り込んでしまう。それと同じように、科学では、実証実験や数学的証明に基づいた論理的議論と、小説家や映画作家の想像の産物をはっきり区別しているが、シンギュラリティの思想家たちは、両者をひとつの大きな物語にひっくるめてしまうのである。

カーツワイルの主張はムーアの法則を拡張するかたちで(カーツワイル自身は収穫加速の法則と読んでいる)シンギュラリティを予想していますが、法則とは言うもののベースあくまで経験則。科学的論証というより物語であるとガナシアは批判します。

こうしてみると、ニューエイジにしろ技術的シンギュラリティにしろ、グノーシス神秘主義の違うあらわれのようですし、この点で2つは類似しています。グノーシス的なものは時代時代でそのよそいを変えながら現れるとも言えるかもしれません。

正しいアップデート

地球外少年少女における”ルナティック”というワードは技術的シンギュラリティの言い換えと言っていいでしょう。ルナティックしたセブンは意味不明な言葉を吐き出し、セブンポエムと呼ばれますが、後半で実はセブンポエムが完全正確な未来予知だったことが明らかになります。意味不明に見えた言葉の羅列は、知性が高度に発達しすぎたために人間の理解が届かなくなったという描写になっています。

未来予知とは原理的にはなかなか難しいもので、天気予報で例えればわかりやすいと思うんですが、1年後の東京の天気を正確に予想することは不可能と言えます。所謂バタフライ効果というやつで、初期値の僅かなゆらぎが結果に大きな影響をもたらすゆえに長期予測が原理的に困難であるというものです。しかしここで問題にしたいのは科学考証的な正確さではなく、原理的には難しいはずの未来予測に対してなぜ視聴者はリアリティを感じてしまうのか、という点です。これはまさに、技術的シンギュラリティという言説の神秘主義的な側面を現代のわたしたちはなんとなく部分的に受け入れているということではないでしょうか。

ニューエイジは過去のものになりましたが、シンギュラリティは現在進行形の世俗カルチャーの神秘主義です。それゆえにニュータイプ的なものが超知能AI=ルナティックにおきかわっているのは正しいアップデートであると思います。

地球外少年少女は30年早いのか?

ルナティック描写については現代に薄く受け入れられている神秘主義をフィクションの中に昇華したものとして強度があると思います。

ニューエイジ的なもの(と派生のニュータイプ的なもの)にガチになる人がそう多くないように、5年10年もしたら「なんかAIにやたら夢見てた時期があったよね」といった感じで案外耐用年数は短いかもしれませんが、ガンダム時代精神を適確に捉え今なお日本アニメのマスターピースになっているように、地球外少年少女がそう言ったものに並ぶポジションを得る可能性もあります。

しかしそれはおそらく監督の言う「下手すると30年速い」とは別の意味にると、わたしは”未来予想”します。

話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選

初参加です。

 

個人的に見どころを感じて、なおかつ今年どんなアニメがあったか振り返ったときに概観できるようなものを意識して選びました。

『PUI PUI モルカー』 第8話 モルミッション

パペットならはのかわいらしさとじんわり人間の闇を感じさせるストーリー、ストップモーションとは思えないダイナミックなカメラワーク。モルカーからさかのぼって知ったのですが、これらの特徴は監督の前作『マイリトルゴート』にもすでに現れていました。ただマイリトルゴートの方ではもっと暗黒フェアリーテールといった感じで、もっとアート志向な個人作家という感じでしたが、『モルカー』は明るくエンタメな装いに加えてオタクな側面も出ていると思います。

際立っていたのが8話、ミッション・インポッシブル、サメ映画、AKIRAといった映画のパロディが満載で、前作と並べると監督の作風のレンジを見るのいいなと思ったのでこの話をピックアップしました。

 

『ウマ娘 プリティーダービー season2』 第2話 譲れないから!

season2をきっかけにソシャゲデビューし競馬もはじめ今では友達とPOGをやるなど趣味の作品を広げてくれた、自分にとって大きな作品になりました(イクイノックスの来年のダービーに期待)

はまるきっかけになったのが第2話。この回がシリーズ全体のドラマのテンションを決定づけたといっていいと思います。主人公不在の菊花賞レース、脇役から名前すら与えられていないモブウマ娘に至るまで一人ひとりが勝利を渇望し全身全霊でレースに挑んでいるということを知らしめました。当時まだ個体識別もできてなかったモブの一人だったネイチャが「テイオーが出ていたらなんて絶ッ対に言わせない!!」と走るすがたは、その演技も相まって目頭が熱くなりました。

ウマ娘は史実をどう脚色あるいは改変するかがミソなコンテンツでしょうが、その点でも2話はターボ師匠のオールカマー回と並ぶ優れた脚色だったと思います。

 

『ワンダーエッグ・プライオリティ』 第11話 おとなのこども

ファンタジスタドール・イヴという小説をご存知でしょうか。ハヤカワ2014年に放送されていたアニメ・ファンタジスタドールのノベライズで、アニメ本編の前日譚にあたります。

文体や構成は人間失格オマージュで、ある種脳天気な本編とは対象的。ストーリーは、科学者の男が幼少期から抱えてた女性への執着をこじらせた結果、同じくこじらせてる同僚の男と理想の女性<ファンタジスタドール>を開発するまでにいたるというもの。(そしてファンタジスタドール第一号であるイヴはエピローグで逃げ出す)

なんとワンエグの11話はファンタジスタドール・イヴとそっくりなんですね。この類似からワンエグにひとつの視座を得られた気がします。イヴを読むと女性の身体への執着、少女のイノセンスへの憧れが実際にはミソジニーの裏返しであるということがわかるんですが、ワンエグ11話の裏にあるのはそういうことなのかな、と。

自分は野島伸司のドラマを網羅的に見てるわけではないですし、視聴した記憶もはっきりしてるわけではないのですが、聞くところによると野島氏が90年代ごろによく書いてたのは男の側の視点で、ワンエグ11話にはそういった要素が詰め込まれているようです。逆に言うと過去のモチーフを一話に畳み込んで少女の側の視点を大きく展開したことがこの作品の美点なのかも、と思いました。

また個人的には、ややマイナーなアニメのややマイナーなお気に入りのノベライズが大きなコンテクストの中に位置づけできた感じがしてよかったです。

 

『スーパーカブ』第1話 ないないの女の子

原作はイラストレーターガチャでSSRを引き、アニメ化に際してはスタッフガチャでSSRを引いた。4話くらいまではおもしろかったけど、その後は原作のほうが息切れしたのか変な方向に行ってしまったような……。

この作品に限らずなんですけど、スーパーカブが出てくる話が昔から好きです。漫画だと『ヨコハマ買い出し紀行』、ライトノベルでは『旅に出よう 滅びゆく世界の果てまで』、あと水曜どうでしょうのカブの旅など。(前の2つだといわゆるcosy catastrophe(心地よい破滅)とよばれるカテゴリーなので、個人的には『少女終末旅行』のケッテンクラートも同じくくりになるかも)

思うに車や自転車といった乗り物は、乗り手の自意識の表現みたいな側面がある気がします。かつて「男はいい車に乗るのがステータス」的な価値観がありましたよね。今もあるのかもしれませんが。一方自転車は、そういった価値観とは距離をとりますよという感じの、「あえて自転車」みたいなところがあるのではないかと思います。例えばキッズリターンのラストが自転車なのもそういったスタンスというか感覚のあたわれではないかと。

対して移動性能的に2つの中間にあるスーパーカブは、乗り手の自意識とは切り離されて、純粋にモビリティが人が触れることのできる世界を広げてくれることを象徴してるように思います。スーパーカブの1話は、そういったスーパーカブの性質が純度高く描かれていると思いました。

 

『ミュークルドリーミー』第41話 バレンタイン和菓子配っちゃお!

気の狂った話をつくるサンリオアニメの、気の狂っていた回。

モテない男たちの怨嗟が集合して世界中で暴動が起きる、しかも怨嗟が現実を侵食してバレンタインという概念自体が消えかけるという、シリーズ最大のカタストロフが発生します。

いつもなら気の触れちゃった人の意識に入り込んで悪夢を退治するというパターンなのですが、なんと今回はそれができません。そこで男の子の朝陽くんが女装して街中のモテない男たちに和菓子を配ることで怨嗟をはらし解決するという怒涛の展開。クライマックスはなんか作画もいい。濃密な24分。これを見たキッズたちはいったいどんな大人になるんでしょうか。

『オッドタクシー』第12話 たりないふたり

脚本の此元和津也さんは漫画家で、実写映画の脚本なんかもやったことあるようですがTVアニメの脚本ははじめてのこと。制作会社のP.I.C.Sも、CMを作ったりしてる会社でテレビアニメ制作は門外漢だったようです。業界外の人がチャレンジしたTVアニメということでたいへん個性的な作品になっていました。

たくさんのキャラを並行で動かしながつつひつの話に収束していく、伏線回収のたくみな話なので、きれいにパズルが組み上がる最終話を選んでも良かったのですが、

関口の『矢野さん!踏めてません!韻!韻が踏めてないです!』に爆笑したので12話を選出します。瞬間風速なら年間通してこのシーンがナンバーワン。

『ゴジラS.P』第8話 まぼろしのすがた

かつてイブニングでSF作家たちに短編を書かせてそれを漫画化しようという企画がありました。結局漫画化されたのは一作だけだったのですが、そのときに書かれたSF短編たちはVisionsという本にまとめられています。

円城塔氏もその企画に参加していたのですが、ブロックチェーンの原理をたとえ話で説明するという「どう漫画化しろと?」「企画意図理解してますか」と聞き返したくなるような作品。そんなことがあったのでゴジラの脚本をやると知ったときは不安の方が大きかったのですが、蓋を開けてみたらちゃんと面白くてうれしい裏切り。

制作過程としてはおそらく、方向性を大まかに合わせた後、円城さんがアイディアをいっぱい広げて監督が”剪定”していくという手順だったのだと想像します。というのも、発展しそうなアイディアやSFテーマがけっこう未回収のままに転がっている気がするからです。

最終話はちょっと特撮ファンのノスタルジーに後退しちゃったかなあという印象なのですが、中盤での情報量のインフレはすさまじく、今後どうなってしまうのか毎話ワクワクしていました。特に情報量とスケールがピークに達するのが8話で、「特異点=宇宙のネットワークが競合を起こしやがて破局をむかえる」という予想が提示されます。このへんのハッタリは終盤映像で十分に回収されたとは思えないのですが、1エピソード選ぶ分にはかまわないでしょう。

 

『ラブライブ!スーパースター!!』第2話 スクールアイドル禁止!?

第一話で中国人留学生(可可ちゃん)が出てきて、中国市場をめくばせしてるのかなと思いました(twitter上では”ラブライブ新作の中国人キャラは超限戦の一環”なんていう陰謀論も見ました)……しかしこの可可ちゃん、2話で一転反体制活動を展開します。これにはド肝抜かされました。アナーキーだ。

これ以降すべての展開が政治的アレゴリーに見えます。第2話で権威主義に対抗し、生徒会選挙では買収と公約違反の描写を通して公正な選挙について考えさせ、すみれのセンターをめぐる問答でポピュリズムを否定し、最終話Song for allで民主主義の理念を高らかに歌い上げる……まあ半分は冗談です。

可可ちゃんは実家が太そうですけど、中国で経済的にる程度成功するにはたぶん中共とある程度懇意にしてないといけないと思うんですよね。そんな親を見て疑問を持ち、そして自分だけの偶像=スクールアイドルに出会った……そう考えると可可ちゃんというキャラクターがとても立体的になる気がします。半分本気なのはその方がキャラが立つからです。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第29話 甦る伝説! プリキュアおめかしアップ!

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マイベスト2019年映画は『スタートゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』なんですが、この作品が自分にとって特別なものになったのは、プロデューサーの村瀬亜季さんの貢献が大きいと思っています。この映画に興味を持ったきっかけがいつもと違う雰囲気の映画ポスターだったのですが、後で村瀬Pの強い意向でこうなったと知りました。

しかして映画はこのポスターのイメージを裏切ることのない傑作。今でも残ってるホームページにはこのような紹介文があります。

「夜空をかける”流れ星”のようなロマンチックな映画」を目指し、キラキラで夢たときめきがいっぱいだけど、ほんのちょっぴり切ない物語になっています。

村瀬Pは制作中譫言のようにロマンチック…ロマンチック…と言っていたそうですが、できあがった作品と比べてみると、その方向性からプロモーションまで明確なビジョンを持ち適確にコントロールされていたのがうかがえます。「ポスターに騙された」なんてことがザラにある中でこれだけでも偉大では。

いつか村瀬PのTVシリーズやらないかなと期待していたら、トロプリで意外と早く実現しました。スタプリ映画とはやや違って底抜けに明るいシリーズですが、29話は演出田中裕太回で、スタプリ映画のロマンチックさや叙情性もかもしていてよかったです。作画監督森佳祐さんはこれが作監デビューということでご祝儀的に腕利きのアニメーターが集結。アクション作画がバリバリよかったし、背景動画の楽しいシーンもあったりして、全体的にクオリティが高かったです。

 

『小林さんちのメイドラゴンS』第10話 カンナの夏休み(二か国語放送です!?)

純然たる日常アニメという趣……だけど、ナラティブ以外のところにメッセージが込められている気がしました。

この回が放送されたのが9月9日。自分が配信で見たのがちょうど9月11日で、その時期報道では9.11テロから20年目の節目としてそこここで特集が組まれていたのも相まって印象に残っています。

京アニらしい丁寧なアニメートで描かれるマンハッタンの日常風景はしかし、20年という決して短くない時間をかけて取り戻したもののはずです。災禍を超えて日常は取り戻される。10年20年たったとき、わたしたちはこの回をどのようにふりかえるでしょうか。